神社に寄り添い、祈り、願う 宮総代にみる祭りの原点

『わっしょい深川(タウン誌深川別冊号 平成26年7月15日発行)』より抜粋

 「今年で宮総代になって3年になります。知らない世界に飛び込み暗中模索中です」というのは、宮総代の押田まり子さん。
 宮総代とは氏子崇敬者の代表として、宮司を助け神社の護持運営に協力するのがその主な役割。神輿渡御を取り仕切る神輿総代とは異なり、祭りでは例大祭に参列し、鳳輦渡御の神幸祭に供奉する。押田さんは中央区議のかたわら、新川一丁目東町会の町会長を32年間も務めてきたが、宮総代は祭りの運営側の一部、これまでとは立場が違う。  生まれも育ちも新川という押田さんは、子供の頃から祭りが大好きだった。だが「神様のことは男の人の領域」と、神輿に近づくだけで祖母に叱られた。まだ、女性が神輿を担ぐことが許されなかった時代だった。初めて神輿を担いだのは高校生のとき。この時の喜びは今も忘れられない。
 そんな時代を過ごしてきた押田さんにとって、神社から宮総代の誘いを受けたとき、祖母の言葉がよみがえり一度は断ったという。だが、現在の富岡長子宮司が宮司となったとき「女性同士の私なら協力できることがあるかもしれない」と思い直し、宮総代を引き受けた。
 前回の本祭りは宮総代として初めて参加。記念すべき年に天皇皇后両陛下をお迎えし、気持ちの引き締まる祭りだったと振り返る押田さん。
 「今年も気持ちは変わりません。今までは鳳輦をお迎えする立場でしたが、一昨年初めて鳳輦に供奉して各町会をまわり、あらためて祭礼を子供さんたちにもっと見せてあげたいと思いました。伝統や文化を目の当たりにすることで、深川の祭りってこういう祭りなんだと分かってもらえます。だから、しっかりとご奉仕するのが私の役割だと思っています。」
 神社に寄り添いながら、祭りを見守る宮総代。今年も押田さんをははじめ10人の宮総代が、氏子の繁栄と平和を祈る。


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